
肌の再生医療とは
老化した皮膚を再生させること
今回は、肌の再生医療についてお話しましょう。
まず、肌の再生医療では、老化という言葉はあまり好ましくありませんが、老化した皮膚を再生することを目指します。つまり、肌の再生医療とは、20歳の肌を再生させるという概念ではありません。
なぜなら、20歳の皮膚はまだ老化していないからです。
一般的に、40代ぐらいになると老化の兆候が現れると考えられます。老化とは、臓器を構成する細胞が失われることを指します。分かりづらいかもしれませんが、骨を例に考えてみましょう。

骨の老化とは、骨を構成する細胞が失われ、骨自体が減少していくことを意味します。これは誰もが理解しやすいでしょう。年を取ると、骨が弱くなってくるということは、骨を構成する細胞が失われるためですね。
皮膚も同様に、皮膚を構成している細胞が失われていくことになります。つまり、皮膚の細胞が減少すると、皮膚自体も薄くなってしまいます。
表皮も薄くなり、新しい細胞の生成も減少するため、重力によってたるんだり、ほうれい線ができたり、目の下にクマが現れたりします。
皮膚細胞の喪失によって生じるこれらの問題を再生する方法は簡単です。失ったものを細胞レベルで補充することで、臓器を再生するのです。
私の専門は、熱傷治療であり、炎や熱湯によって損傷した皮膚を再生することです。
具体的な方法としては、バイオ皮膚と呼ばれる技術を使用します。この方法では、患者自身の皮膚細胞を採取し、バイオ皮膚として培養した後、損傷した部分に移植して皮膚を修復します。

つまり、再生医療では、失われた臓器を再生するために、その臓器を構成する細胞を補充し、移植することが基本的な考え方です。
例えば、心筋梗塞で心臓細胞が損傷した場合は、心臓細胞を補充し、心筋を再生させます。軟骨が摩耗して歩行が困難になった場合は、軟骨細胞を補充し修復するのです。
これが再生医療の基本的な考え方です。
実際には、細胞を補充する方法について説明しますが、細胞の補充には誰の細胞でも使用できるわけではありません。細胞にはMHC(主要組織適合遺伝子複合体)という血液型に似た要素が存在します。
血液型が一致しないと、拒絶反応が引き起こされるのと同様に、細胞でも同様の問題が起こります。実際には約600種類ものMHCが存在するため、他人の細胞を受け取ることは現実的には不可能です。

親や兄弟でもMHCは異なる可能性があるため、他人の細胞を使用することは困難です。
皮膚の細胞が失われると、表皮も薄くなります。薄くなると、顔がたるんだり、ほうれい線や目の下のくぼみなどの症状が現れます。
皮膚の再生医療では、この薄くなった部分に真皮の線維芽細胞を補充することが行われます。細胞の補充により、薄くなった皮膚は細胞が回復し、徐々に厚みと弾力性を取り戻していくのです。
真皮線維芽細胞は、真皮内に存在し、コラーゲン繊維を作り出す役割を持つ細胞です。肌の再生医療では、真皮内の線維芽細胞を取り扱い、様々な種類のコラーゲンを生成することが目指されています。
本日は、肌の再生医療についてお話しました。
さまざまな話題を取り上げましたが、老化とは臓器を構成する細胞の減少のことです。骨を構成する細胞、皮膚を構成する細胞、筋肉を構成する細胞など、さまざまな臓器の細胞が減っていくのです。
これが退行性変化と呼ばれる現象であり、老化の主要な要素となります。

それを再生させるためには、失われた臓器の細胞を補充する必要があります。これが肌の再生医療やアンチエイジングとしての肌の再生医療の基本的な考え方です。
紫外線によって真皮が損傷するなど、さまざまな要因によって肌の問題が起こることを伝えてきましたが、根本的な解決策としては、おそらく肌の再生医療しかないと思われます。
