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再生医療 Q&A

再生医療の根幹に関わる質問

 今日はいただいた質問の回答を紹介します。

「再生医療の中には、臍帯や歯髄幹細胞を使った治療もありますが、年を取った自分の細胞を培養するよりも、若い細胞を使用する方が良いと考えてしまいます。70歳近い私が望むことは難しいのでしょうか?」

もう一つ関連する質問です。

「私は今年36歳になり、子供ができてから目のたるみがひどくなってしまいました。30代はまだ老化していないと言われていましたが、やはり30代で肌の再整備を受けても改善は難しいのでしょうか?」

これらは再生医療の根幹に関わる問題ですので、これらの質問について回答していきます。

 

 

まず最初に、臍帯や取水管細胞を使った治療が確かに存在することを知っています。再生医療では、さまざまな細胞を扱っています。

例えば、真皮繊維芽細胞や皮膚の細胞など、肌細胞と呼ばれるものです。また、子宮内膜の細胞や心臓のc-kit陽性細胞なども利用されています。さらに、脂肪由来幹細胞という細胞も扱われており、脂肪細胞や血管、軟骨などに分化することができます。また、骨髄由来ではなく、末梢血由来の幹細胞も使用されています。

その他にも、表皮角化細胞や色素細胞など、さまざまな細胞を扱ったこともありますが、現在商業的に利用されているのは以下の五つの細胞です。再生医療は、細胞を使って臓器を再生するという根本的なアプローチです。

ただし、他人の細胞を利用することはできません。なぜなら、細胞にも血液型のような特徴があり、血液型がAB、A、B、Oの四つに加えてRHプラスもあるように、細胞にも同様の型が存在するからです。

 

 

これをMHCと呼びますが、細胞の型が四つだけであれば簡単ですが、実際には約600種類もの型が存在します。

ですから、他人の細胞を簡単に受け取ることはできません。600人を集めてようやく適合する人を見つけるといった具合です。

確かにMHCの型が若い細胞を持ってくれば良いのですが、現実的には非常に困難です。IPS研究所の山中先生を中心とした研究チームが、Libraryと呼ばれる試みを行っていますが、600もの型があるため、細胞の移植や持ち込み自体が困難です。

基本的に、再生医療では自分自身の細胞を使用することが基礎となっています。

したがって、歯髄や臍帯血など、他人の細胞を使うことは現実的ではありません。自分自身の歯髄を利用するためには、歯を抜いて静脈から採取する必要がありますが、これも容易ではありません。

したがって、歯髄や臍帯血を利用した他人の細胞は現実的には困難です。

もう一つ考えられるのは、自分自身の歯髄や脂肪由来の幹細胞を取り出し、別の病気に使用するというアイデアですが、これも現実的ではありません。

 

 

現実的なアプローチとは、例えば皮膚の老化を再生させるためには皮膚の細胞を使用し、心筋梗塞を治療するためには心臓の細胞とか心筋梗塞に皮膚の細胞を使っても駄目なのは素人でもあります。

心臓の細胞を皮膚に入れて若返らせることはできないことは理解しています。また、皮膚の細胞を子宮内膜に入れて不妊症を治すこともできません。子宮内膜には子宮内膜由来の幹細胞を使用します。

再生したい臓器の細胞を使うというのが基本的なアプローチであり、自分自身の細胞を使用すると非常に限定的なものになります。そのため、歯髄や臍帯血を利用することは理論的にも困難であり、実際に行われているところもありますが、そのロジカルな根拠は明確ではありません。

さて、質問ですが、幹細胞を使用した点滴治療など、なんでも良くなるような治療について聞かれることがありますが、基本的には根拠がなく、私たちが行っている再生医療の範囲外の治療法だと考えています。

また、36歳の方で目のたるみが起きているとのことですが、これは老化が原因ではないと思います。再生医療は老化が原因ではないものには効果を持ちません。

例えば、皮膚が老化していない部位に皮膚の細胞を移植しても、皮膚は再生されません。同様に、骨粗鬆症の患者ではない部位に骨細胞を移植しても、骨は強くなりません。

 

 

言い換えれば、骨折していない人に対して骨折治療を行っても、骨は強くならないのと同じです。したがって、産後に起きたたるみのような症状に対しては、再生医療を行っても難しいと思われます。

その理由は、老化によるものではないからです。老化は急激に進行するものではありませんし、出産がきっかけで一気に老化が進むことはほとんどありません。

したがって、このような症状は別の原因によって引き起こされている可能性があると考えます。

今日はですね、再生医療、今現在の日本もしくは現代の再生医療の基本的な考え方はどういうようなものかというものをお話してみました。

まとめるとですね、細胞には型が600種類もあって、基本的には自分自身の細胞を使う、それから再生させたい臓器の細胞を使う。

これが原則になります。

もうこれは再生医療の現実的な原則になりますので、ここからはみ出ているものはなかなかエビデンス的にはないのかなと思います。

今日はですね、いろんな再生医療という言葉が出てますので、再生医療の原則というものについてお話させていただきました。

皆さん、ちょっと美容は全然ちょっと全然じゃなくてちょっとかけ離れた話をしてしまいましたけれども、再生医療の原則みたいなことについてお話させていただきました